OPPOが発売した折り畳みスマートフォンに、「中国限定発売」でも注目すべき理由

OPPOが発売した折り畳みスマートフォンに、「中国限定発売」でも注目すべき理由

中国のスマートフォンメーカーのOPPO(広東欧珀移動通信)が、このほど同社にとってここ数年で最大の意欲作となるスマートフォン「OPPO Find N」を発表した。同社はこの端末で、ディスプレイを折り畳めるタイプのスマートフォンが抱える重大な問題をいくつか解消しようとしている。

まず、OPPO Find Nの価格は、競合製品のように恐ろしく高いわけではない。また、これまでに発売されたどの折り畳みスマートフォンよりも、ヒンジ部に生じるディスプレイの折り目が気にならない。そして、サムスンの「Galaxy Z Flip」シリーズといった折り畳みスマートフォンと比べると、片手で持って使いやすい。

これは大きな進歩だ。しかし、それもどうでもいいことのように思えるかもしれない。OPPO Find Nは、OPPOの本拠地である中国でしか発売されないからだ。

英国ではOPPOの知名度こそ高いものの、この製品の一般発売は期待できない。OPPOがほとんど知られていない米国ではなおさらだろう。OPPO Find Nの発表イヴェントで、同社はOPPO版「Google Glass」ともいえる「Air Glass」も発表しているが、こちらも中国国外での発売は予定されていない。

そんなわけで、OPPO Find Nは中国国内でしか手に入らない。だが、この記事を書いているのは理由がある。

巨大企業BBKエレクトロニクスの影

OPPOが発売した折り畳みスマートフォンに、「中国限定発売」でも注目すべき理由

実はOPPOは完全な独立企業ではない。少なくとも欧米においてコンシューマーテクノロジー企業としての認知度が低いBBKエレクトロニクス(広東歩歩高電子工業)という大企業に属しているのだ。

つまり、OPPOはBBKエレクトロニクス傘下のブランドのひとつなのである。Counterpoint Researchによると、同社はファーウェイ(華為技術)の衰退に乗じて、中国のスマートフォン市場で44%以上のシェアを獲得した。これはアップル、シャオミ(小米科技)、サムスンのシェアをも凌駕する。

そしてBBKエレクトロニクスは、自社ラインナップの“異端児”ともいえるブランド「OnePlus」を軸に、欧米での戦略を変えようとしているようだ。OPPO Find Nの技術がOnePlusを展開するワンプラス(万普拉斯)のスマートフォンに搭載される日は、そう遠くないかもしれない。

BBKエレクトロニクスの主力スマートフォンブランドには「OPPO」「Vivo」「realme」「OnePlus」「IQOO」がある。このなかで唯一、OnePlusが米国で広く流通していて、中国企業とはっきり認識されていない。そしてOnePlusの長期的な成功は、手に負えなくなった実験の成果であるとも言える。

ワンプラスは2013年末に設立された。創業者は当時24歳のカール・ペイ(裴宇)と、38歳のピート・ラウ(劉作虎)。ふたりはもともとOPPOで一緒に働いていた。

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20代のテック系スタートアップ創業者は珍しくない。だがワンプラスは、本当の意味でのスタートアップではなかった。当初はスタートアップのように見えたかもしれないが、ワンプラスはテック系の大企業から資金提供を受けたプロジェクトだったのである。ペイのような数年前にビジネススクールを中退したばかりの人物に、ひょっこり転がり込んでくるような話ではなかったのだ。

例えるなら、いまのサムスンが無名の若い共同創業者に新しいスマートフォンブランドの立ち上げを任せ、TikTokでのみスタートさせるか考えてみてほしい。OnePlusはそういう成り立ちだったのである。