Leicaクアッドカメラで史上最強モデルを狙う「HUAWEI P30 Pro」

Leicaクアッドカメラで史上最強モデルを狙う「HUAWEI P30 Pro」

激しい競争がくり広げられるスマートフォンのカメラ

 現在、多くのユーザーがスマートフォンでもっとも頻繁に利用する機能と言えば、やはり、カメラだろう。SNSでシェアすることが当たり前となった今、いい写真を撮れることはスマートフォンの実力を表わすうえで、もっとも重要な機能のひとつになったと言っても差し支えないだろう。

 そんなスマートフォンのカメラにおいて、ここ数年、新しいトレンドを生み出し、市場を牽引してきたのがファーウェイだ。同社は2015年に発売された「honor 6 plus」ではじめて2つのイメージセンサーを搭載し、スマートフォンのカメラでありながら、奥行きのある写真でピントを合わせる位置を撮影後に調整できる機能を実現した。

 この機能はファーウェイの「HUAWEI P」シリーズと「HUAWEI Mate」シリーズという2つの主力モデルに受け継がれ、従来の一般的なデジタルカメラでは細かな設定が必要とされていた「ボケ味」の利いた写真を誰でも手軽に撮影できる環境を実現し、進化を遂げていく。

Leicaクアッドカメラで史上最強モデルを狙う「HUAWEI P30 Pro」

 なかでも同社製スマートフォンのカメラが世界中から注目を集めるようになったのは、2016年4月に発表された「HUAWEI P9」だ。ドイツの老舗光学機器メーカー「Leica」との共同で開発したダブルレンズカメラは、ひとつはカラーセンサー、もうひとつはモノクロセンサーを採用し、モノクロセンサーで得た明暗情報をカラーセンサーで得た情報に組み合わせることで、それまでのスマートフォンでは実現できなかったダイナミックレンジの広い写真を撮影できるようにした。

 このモノクロセンサーとカラーセンサーを組み合わせる手法は、後継モデルとして、2017年2月にMWC 2017に合わせて発表された「HUAWEI P10」「HUAWEI P10 Plus」、2017年10月に初のAI対応を実現した「HUAWEI Mate 10 Pro」、2018年3月発表の「HUAWEI P20 Pro」にも受け継がれ、カメラ業界の専門媒体で構成する団体でアワードを取得するなど、各方面で高い評価を得た。

 こうした状況に対し、ライバルメーカーも手をこまねいているわけではなく、アップルは2016年発表のiPhone 7 Plusで初のデュアルカメラを搭載、サムスンは2017年発表のGalaxy Note8で可変絞り機能を備えたカメラを持つデュアルカメラを搭載するなど、カメラ機能の強化に注力している。シャープやソニーなどの国内勢もデュアルカメラ搭載モデルを相次いで投入する一方、OPPOやASUSなどのSIMフリースマートフォンを展開するメーカーも国内市場向けにデュアルカメラ搭載モデルを次々とリリースするなど、各社のカメラ機能の競争は一段と激しさを増している。GoogleのPixel 3/3 XLはシングルカメラながら、AIによる処理でボケ味の利いた写真を撮影できるようにするなど、独自のアプローチを試みている。

 そんな中、ファーウェイの主力モデルに搭載されるカメラでは、昨年、ひとつ大きな方針転換とも言える動きが見られた。昨年10月にイギリス・ロンドンで発表された「HUAWEI Mate 20 Pro」は、それまでのモノクロイメージセンサーとカラーイメージセンサーの組み合わせによるカメラモジュールの構成をやめ、3つのカラーイメージセンサーを使い、広角/超広角/望遠という焦点距離の異なるカメラで構成するマルチカメラを搭載した。ファーウェイ製端末のLeicaカメラの美しい画質は、モノクロ/カラーイメージセンサーの構成に、Leicaのレンズを組み合わせることで実現されるとしていたが、カラーイメージセンサーのみの構成でも十分に高品質な写真を撮影できるとしていた。

HUAWEI P30 Pro(中央)は従来のHUAWEI P20 Pro(右)に比べ、昨年のHUAWEI Mate 20 Pro(左)に近いデザイン

 そして、2019年モデルとなる「HUAWEI P30」シリーズには、どのようなカメラが搭載されるのかが注目されていたが、速報でもお伝えしたように、「HUAWEI P30 Pro」はLeicaクアッドカメラ、「HUAWEI P30」はLeicaトリプルカメラを搭載している。発表された2機種の内、「HUAWEI P30」のカメラは昨年の「HUAWEI Mate 20 Pro」のカメラとほぼ同等のスペックであるのに対し、「HUAWEI P30 Pro」にはこれまでになかった新開発のイメージセンサーを採用し、従来モデルに比べ、暗いところでも一段とクリアな写真を撮影できる環境を実現している。

 もちろん、チップセットやボディなど、さまざまな部分で機能強化が図られたが、発表時のプレゼンテーションでもカメラの撮影機能に多くの時間が割かれ、ライバル製品との比較も数多く明示されるなど、「これはデジタルカメラの発表会?」と思わせるほどの力の入れようだった。その意気込みは発表イベントの「Rewrite the rule of Photography(写真撮影のルールを書き換える)」というキャッチコピーにも込められており、ファーウェイのカメラ機能に対する強いこだわりを感じさせた。

 発表イベントの終了後、タッチ&トライの時間が設けられ、「HUAWEI P30 Pro」と「HUAWEI P30」の両機種を試すことができ、これに加え、「HUAWEI P30 Pro」のグローバル版のデモ機もお借りすることができた。グローバル版については日本の技術適合認証を受けていないため、ネットワーク接続についてはパリ滞在時のみ、国内ではフライトモードでの利用に限られていたが、ここでは製品の内容を説明しながら、実機の使用感などをお伝えしよう。

 今回、試用したモデルはグローバル版であり、実際の製品と差異があるかもしれないこと、国内版については何もアナウンスされていないことをお断りしておく。同時に、デモ機受け取り後、ソフトウェア更新も公開されているため、内容が今後も含め、変更されるかもしれないことをご理解のうえ、ご覧いただきたい。