サムスンを意識して差別化した「Find N」
Find Nがどんなスマホなのか分析するところから始めよう。
二つ折りスマホには本体を縦開きにする「コンパクトさ」を重視するものと、横開きにする「画面の広さ」を重視するものがある。Find Nは後者。二つ折りスマホが高価なハイエンド製品であり、広い画面を活かしたプロダクティビティの高さが求められる場合が多いからだろうか。
プロセッサーにはクアルコムの「Snapdragon 888」を採用、三眼で最大3,200万画素のソニー製イメージセンサーを使っている。この辺もまさに「ハイエンド」だ。
二つ折りとしてのもっとも大きな差別化点はディスプレイそのものだ。
Find Nのディスプレイは開いた際に7.1インチ、閉じた際で5.49インチ。閉じた際のアスペクト比は9:18、開いた際はほぼ1:1になる。
Find Nの仕様。ディスプレイの縦横比はGalaxy Z Fold 3より少し横に広いこれは、現状二つ折りの最大手、というかほぼ独走状態にあるサムスン製品、特に「Galaxy Z Fold 3」を強く意識したものだ。
Galaxy Z Fold 3は開いた際のサイズが7.6インチ、閉じた際のサイズが6.2インチになっている。縦横比は閉じた際が9:24.5、開いた際が18:22.5で、より縦長になっている。
筆者私物のGalaxy Z Fold 3。折り畳んだ時の持ちやすさを考慮し、Find Nと比較すると縦長になっているGalaxy Z Fold 3が縦長を採用したのは、閉じて使った時の持ちやすさを重視してのことだ。片手で持って電話するなら、確かに横幅が狭い方がいい。
だが、開いた状態でアプリを使う時は、もう少し横に広い方が使いやすい。これは、筆者自身がGalaxy Z Fold 3を毎日使っているユーザーであり、その中で感じることでもある。
アプリを全画面で使う場合には特に問題ないが、画面を二分割して2つのアプリを同時に表示して使うような場合、今の縦横比だと、1つのアプリの画面が縦長になりすぎて使いづらいのだ。
OPPOはプレゼンの中で、「開いた時にほぼ1:1」という縦横比が、使いやすさを重視したものであることを強くアピールしている。
同時に、二つ折りの機構やガラスについても優位性をアピールする。独自の複雑な構造を持つヒンジを採用することで、ガラスの中央に「折り目」を目立たせることなく、さらに、折り畳んだ時に両側がピッタリと密着する構造を実現した。
Find Nを折り畳んだ時の様子。ピッタリと閉じられて、中央にも「折り目」が出づらい構造になっているこれも同様に、Galaxy Z Fold 3を意識したものだ。Galaxy Z Fold 3は折り畳んだ状態で多少隙間ができて、ガラス部の中央にも「折り目」が出る。実際の使い勝手において、折り目は見た目ほど影響はなく、日常的にはほぼ気にならない、というのが利用者としての実感だ。だが、折り目がない方が望ましいのは間違いない。
OPPOは直接名前を出すことはないものの、縦横比と折り畳み機構、そして「折り目」と、Galaxy Z Fold 3と違う点を次々にアピールしていた。Find NのハードウエアがGalaxy Z Foldシリーズをベンチマークとして作られていることは明白だ。
そして、ソフト面でも工夫している。
二つ折りや二画面を採用したスマホは、2つのアプリを同時に使う際に便利である、ということが大きな特徴である。一方で、その特徴を十分に活かすには、2つのアプリの起動が簡単でなくてはならない。これは、どのメーカーも苦労している点だ。
OPPOはここで面白いユーザーインターフェースを採用した。全画面で表示されているアプリの真ん中を二本指で「切る」ような動作をすると、そのアプリが画面分割状態になり、もう片方に別のアプリを呼び出せるようになるのだ。実際に使ってみるまで、これが本当に使いやすいかどうかはなんとも言えないが、なかなか面白い工夫であるのは間違いない。
その上で、Find Nは安い。
メモリー8GB/ストレージ256GBのモデルが7,699元(約13万8,000円)、12GB/512GBのモデルが8,999元(約16万1,000円)となっている。
Galaxy Z Fold 3が12GB/256GBで24万円弱(日本での販売価格)だから、かなり安価な水準になっている。
これは確かに競争力がありそうだ。