3年半ぶりのリニューアルで強く生まれ変わった「iPad mini」

3年半ぶりのリニューアルで強く生まれ変わった「iPad mini」

アップル「iPad mini」(第5世代)。約203.2mm(高さ)×134.8mm(幅)×6.1mm(厚さ)、約308.2g(Wi-Fi+Cellularモデル)。シルバー(写真)、ゴールド、スペースグレイをラインアップ

 今や国内でも6割程度まで普及したと言われるスマートフォン。その一方で、今ひとつ微妙な評価を受け続けているジャンルがタブレットだ。

 改めて説明するまでもないが、スマートフォンは音声通話やネット、アプリなど、さまざまな用途に利用でき、常に持ち歩くツールだが、タブレットは音声通話などの機能を省く代わりに(一部、通話できる製品もあるが……)、より大きな画面を搭載し、ネットやコンテンツ閲覧、アプリなどを利用できるツールとして作られている。ここ数年は教育現場での利用も多く、家庭内でも家族が共用するデジタルツールとして使われている例が多いとされる。

 タブレットにはプラットフォームの違いにより、いくつかの製品群があるが、基本的にスマートフォンと同じプラットフォームを採用しているのがアップルの「iPad」シリーズや、GoogleのAndroidプラットフォームを採用するAndroidタブレットになる。もうひとつはパソコンから派生する形で生まれたWindowsタブレットで、マイクロソフトのSurfaceシリーズなど、2in1スタイルで利用できる製品が人気を集めているが、Windowsスマートフォンが事実上消滅した今、Windows 10ではiPhoneやAndroidスマートフォンとの連携機能が強化されている。

 「iPad」は2010年1月に初代モデルが発表され、日本では同年5月に、当時、iPhoneを国内で唯一販売していたソフトバンクから「Wi-Fi+3Gモデル」が発売された。

 翌年以降、ほぼ毎年1機種のペースで初代モデルと同じ9.7インチディスプレイを搭載した新製品が投入されたが、2012年10月には7.9インチのディスプレイを搭載し、ひと回りコンパクトなデザインに仕上げた「iPad mini」シリーズが発表され、2012年11月から国内市場に投入された。

3年半ぶりのリニューアルで強く生まれ変わった「iPad mini」

 iPad miniシリーズはiPadシリーズと並行する形で、新製品が投入されてきた。2013年10月には初代iPad miniで今ひとつ評判が芳しくなかったディスプレイを変更し、1536×2048ドット表示が可能な高解像度ディスプレイを搭載した2代目モデル「iPad mini Retinaディスプレイモデル」(後に「iPad mini 2に名称変更」)を発表。その後、2014年10月に3代目モデル「iPad mini 3」、2015年10月に「iPad mini 4」が発表されたが、これを最後にiPad miniシリーズはしばらくモデルチェンジが行われなかった。

 一方、標準モデルのiPadシリーズは、2011年3月の「iPad 2」、2012年3月の「新しいiPad(第3世代)」、2012年10月に「iPad(第4世代)」まで順調に世代を重ねたものの、2013年10月には薄型の「iPad Air(第1世代)」、2014年10月には「iPad Air 2」と名前を改める。

 2015年には12.9インチディスプレイを搭載し、Apple Pencilに対応した「iPad Pro 12.9」、2016年3月に9.7インチディスプレイ搭載の「iPad Pro 9.7」とバリエーションを拡大。その後、2017年3月に「iPad Pro 10.5」、2018年にはデザインを一新した「iPad Pro 11」と「iPad Pro 12.9」を加え、ラインアップをさらに拡大している。

 筆者は初代モデルからiPadを使い、ほぼ毎年、新製品に買い換えてきたが、出張や旅行、外出時にはiPad miniシリーズを愛用し、ここ数年はiPad mini 4を使ってきた。しかし、3年以上モデルチェンジがなかったうえ、昨年発売のiPad Pro 11が気に入ったこともあり、最近はiPad mini 4の出番がほとんどなくなっていた。

 今回取り上げる「iPad mini」は、今年3月、約3年半ぶりの新製品として発表された。iPad miniとしては第5世代という位置付けになる。iPadシリーズが拡大する中、3年以上も新製品の発表がなく、完全に置き去りにされた感が否めなかったiPad miniシリーズがようやく復帰した印象だ。

 今回のiPad mini(第5世代)はiPad mini 4までと違い、モデル名のナンバリングをやめ、アップルのWebページでも「iPad mini」とだけ表記されている。

 スタンダードなiPadシリーズも途中でモデル名のナンバリングをやめているが、今回は2013年発売の製品と同名の「iPad Air」というネーミングを採用するなど、ユーザーが混乱してしまいそうなネーミングが続いている。

 ちなみに、同時発表の「iPad Air(第3世代)」は、モデル名こそiPad Airの名が付けられているものの、ディスプレイサイズやApple Pencil対応などを考えると、実質的には2017年発売のiPad Pro 10.5の後継モデルに位置付けられ、併売されているiPad(第6世代)とは、チップセットなども含めて少し世代が異なる製品になる。