200Gのシリアルと800GのWDM、どっちが先に100万ポート出荷を実現できるのか?

200Gのシリアルと800GのWDM、どっちが先に100万ポート出荷を実現できるのか?

5番目の案はすごいモノが出てきた。構成としては第3案に近いCoherentであるが、ここに「SHD(Self-Homodyne Detection:自己ヘテロダイン検波)」を使おう、というものだ。

SHD自身は以前から研究されている手法であり、Coherent通信の一種である。「HD(Heterodyne Detection」に分類される第3・4案の場合は、信号光とは別に「LO(Local Oscillator)」と呼ばれる連続光を用意し、信号光とLOを干渉させることで信号光複素振幅を取り出す方式であるが、この信号光と連続光は周波数や位相が完全に一致はしていない。

200Gのシリアルと800GのWDM、どっちが先に100万ポート出荷を実現できるのか?

これに対してSHDは、LOの周波数や位相を完全に信号光と一致させるというものだ。その結果、信号感度は10~20dB向上し、WDMの利用時には隣接チャネルの干渉を(光→電気信号への変換後に)理想的なフィルタで除去できるため、特にDWDMにおいて有利、波長分散などに起因するひずみを電気回路で補償可能、などいくつかの大きなメリットがある。

受信側には、「ICR(Integrated Coherent Receiver)」と「SVDD(Stokes Vector Direct Detection)」を使う2案が上がっている。つまり、複数の提案が出せる程度にまだ鉄板の方式がない、ということでもある

もっとも、DWDMを利用した長距離伝送システムならともかく、10kmオーダーの「短距離」ネットワークではまず使われたことがない方式だけに、現実的なコストでの実装が可能か?と言われるとかなり疑問符が付く。

それはともかく、SHDを利用する方式はレーンあたり200Gとなるので、これを4波長並べてWDMのMUX/DEMUXを噛ませることで、1対の光ファイバーで送受信を可能にしよう、というものだ。

ただし、DAC/ADCの数は増えるし、DSPでの処理はさらに重くなると思われる。

この方式と800G LR4の違いというかメリットは、波長を広く取れる(CWDMでも対応できる)というものだ。Chromatic Dispersion Limitに起因する歪みや、伝達特性の悪化に対して原理的に強い(というか、DSP段で補正ができる)ため、レーザー光源は使い慣れたものが利用できるし、WDMのMUX/DEMUXも800G LR4と比べれば安く上がると思われる。