UQコミュニケーションズに事業が移管されたあと、auのサブブランドとしての位置付けを強化したUQ mobileだが、料金プランの整備や端末ラインアップの拡充、大規模なテレビCM展開などが功を奏し、ユーザー数は急速に拡大しつつある。
MM総研が12月26日に発表したMVNOのシェアでは、楽天モバイル、IIJmioに次ぐ第3位につけ、堅調に伸びていることをうかがわせた。同調査によると回線数は135.4万。同じサブブランドで、400万回線を突破しているY!mobileを追い上げている。
家電量販店の声に答えた「ギガMAX月割」
そのUQコミュニケーションズが、UQ mobileとWiMAX 2+対応Wi-Fiルーターのセット割である「ギガMAX月割」を開始する。固定回線と合わせて同様のセット割を展開するMVNOは他にもあるが、ギガMAX月割は、UQコミュニケーションズが自社でネットワークを構築したWiMAX 2+とMVNOを組み合わせた点が新しい。
月額300円を割り引く「ギガMAX月割」を3月に開始するUQ mobileとWiMAX 2+が月額6060円(税別)から利用できるただし、割引額は300円。ドコモやau、ソフトバンクが提供する光回線とのセット割と比べ、その金額は小さい。これに対し、UQコミュニケーションズの野坂章雄社長は、金額ではなく「割引があることが重要」だとしながら次のように語る。
「(家電量販店などのショップからは)とにかく、100円でも200円でもいいから引いてくれと言われていた。それを実現する意味が大きい。売る方にしてみれば、毎月300円安くなると言えた方が売りやすく、いろいろと考え、そこに踏み込むことにした。100円でもいいという意見はあったが、気持ちを示すときにそれでは少ないと考え300円に決めた」
UQコミュニケーションズの野坂章雄社長過去には、「UQ mobileのスマートフォンとUQ WiMAXのWi-Fiルーターを両方買うと5000円引きになるといった施策は、店頭でやっていた」こともあり、成果が上がっていた。ワンタイムの端末割引ではなく、それを料金プランに落とし込んだのが、ギガMAX月割というわけだ。
家電量販店からのこうした声が増えたのは、UQ mobileのユーザー数が増えた結果だ。大規模なテレビCMを展開する前は、UQといえばUQ WiMAXをイメージする人が多かった印象がある。一方で、今は「スマートフォンからWiMAXに入る人の方が多くなってきたかもしれない」と、状況が逆転しつつある。「格安スマートフォンがかなり定着してきたので、買いました。でも家はどうなっていますかというときにUQ WiMAXを選ぶ」ことが多いという。
野坂氏は「UQ mobileのスマートフォンが増えることで、スマートフォンがあるからWiMAXを買う、逆にWiMAXがあるからスマートフォンを買う、といったいい相乗効果が出てきている」と語っていたが、セット割はその好循環を強化するためのものといえる。
盛り返すWi-Fiルーター市場、家族向けの据え置き型も人気に
UQ mobileユーザーの数が増えたことで、「20代、30代だったところが全年代に広がった」と、UQコミュニケーションズの客層にも変化が出てきた。この広がった層が「逆にUQ WiMAXに流れてきている」ため、Wi-Fiルーターの需要にも変化が生じ始めている。「以前はガジェッター(新しいガジェット好きのコアなユーザー)のUQ WiMAXや格安スマホだったが、今は家族商材になってきている」というのだ。
伸びているのが、据え置き型のルーター。野坂氏によると、「固定ブロードバンドは飽和しているが、モバイルブロードバンドはどんどん伸びていて、今年(2019年)はもっと伸びるという予想もある」という。
ワイヤレスの固定ブロードバンドルーターは伸びているこうした需要に応え、UQコミュニケーションズではWiMAXハイパワーに対応した「WiMAX HOME 01」(NECプラットフォームズ製)を用意。auに合わせる形で、Huawei製の「Speed Wi-Fi HOME L02」も発売する。「固定ルーターと移動ルーターは別のもの。本来は、その2つにスマートフォンという3つがあるが、僕ら自身が2つ(スマートフォンとルーター)にくくってしまっていたところがあった」といい、戦略を改めた。
UQの固定ルーター「WiMAX HOME 01」スマートフォンでは大容量プランが一般的になりつつあり、当のUQ mobileでも「(Lプランは)21GBも使える」というが、UQ WiMAXの「ウルトラギガMAX」は、データ量に上限がない。3日で10GBという制約があるため、「100GBという言い方をしているが、(制限時間が翌日18時頃から翌々日2時頃までの約8時間なので)実は100GB以上使える」ため、固定回線の代替にもなりうる。Wi-Fiルーター市場では競合だったイーモバイルがソフトバンクに吸収され、ここにあまり注力しなくなったことも、UQコミュニケーションズにとってはプラスに働いているようだ。
先に挙げたセット割は、こうした市場の変化に応えるものともいえる。また、UQ mobileの「ファミゼロ学割」が、学生本人だけでなく、その家族まで対象にして、基本料を最大3カ月間0円にしたのもそのためだ。以前は使用するデータ容量の多いコアなユーザーが中心だったUQコミュニケーションズだが、徐々に大手キャリアに客層が近づきつつあることがうかがえる。
UQも分離プランを導入する?