混沌の充電事情からの脱出

混沌の充電事情からの脱出

Appleが新iPhoneの発表と同時に公開した紹介サイトを見ると、新iPhoneの急速充電に関する記述が見つかる。「30分で最大50%充電できるリチャージャブルリチウムイオンバッテリー内蔵」とある(iPhone Xのスペック)。

その注をたどると、

iPhone 8、iPhone 8 Plusの試作ハードウェアとソフトウェア、Apple USB-C電源アダプタ(29WモデルA1540、61WモデルA1718、87WモデルA1719)アクセサリを使用し、2017年8月にAppleが実施したテスト結果によります。高速充電のテストは、バッテリを完全に消費したiPhoneハードウェアを使って実施しました。充電時間は環境条件によって変わり、実際の結果は異なる場合があります。

混沌の充電事情からの脱出

と記載されている。

ここからわかるのは、どうやら新iPhoneの急速充電はUSB PDらしいということだ。とは言うものの、iPhone本体のコネクタは従来どおりのLightningだ。

つまり、片側USB Type-C、もう片側がLightningのケーブルを使っての充電となる。規格に忠実であろうとすると、ここにPDを流すのはNGだ。なぜなら、USB PDはUSB Type-Cのための規格だからだ(USB PD 3.0)。

だが、このケーブルそのものにPDのコントローラが内蔵されている可能性もある。Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタにDAコンバータとアナログアンプを内蔵するくらいの企業だから十分に考えられる。つまり、ケーブルではなくケーブル直づけの充電用周辺機器と考えれば強引に規格に準拠していると言い張れる。

純正の「USB-C - Lightningケーブル」は1mのものが3,000円を超える。USB Type-AコネクタのLightningケーブルの1.5倍くらいの値づけなのだから、そのくらいのことはやっていてほしいと思う。